公開レジストリ a2aregistry の公開APIで確認できる登録エージェントは 194件です。この数字を、AgentCardの疎通、レジストリのヘルスチェック、A2A message/send の実動作という3つの層に分けて確認しました。
今回の要点
登録194件のうち、直近のヘルスチェックで正常と判定されたものは186件(95.9%)でした。一方、A2Aのmessage/sendで実応答を返すWORKINGは67件(34.5%)です。x402・機械間決済への言及は77件(39.7%)にありますが、WORKINGと重なるのは31件(16.0%)でした。
結論として、公開A2Aエコシステムの規模はまだ小さく、「稼働」をどの層で見るかによって見える数字が大きく異なります。エージェントカードが取得できることと、A2Aのメッセージ交換が実際に機能することは別の指標です。
a2aregistry公開APIの194件を対象に確認
対象は、a2aregistryの /api/stats と /api/agents?limit=100&offset={0,100} から取得した公開データです。各エージェントの is_healthy、task_conformance.category、uptime_percentage を用いて、登録状況と実動作を分けて確認しました。
あわせて、登録されている .well-known/agent-card.json または旧形式の .well-known/agent.json にHTTP GET を送り、AgentCardの公開エンドポイントに到達できるかを確認しました。A2Aの仕様とAgentCardの位置付けは、A2A Protocol Specificationを参照しています。
カードの疎通とA2Aの実動作には差がある
is_healthy=truemessage/send が実応答is_healthy=true でありながら WORKING ではないエージェントは119件でした。これらはAgentCardのエンドポイントには到達できるものの、message/send では404、401、405、トランスポート定義不足などにより実応答を返せていません。公開エージェントの「生存」を単一の数字で表すことには限界があります。
| 稼働性の区分 | 件数 | 割合 | x402言及あり |
|---|---|---|---|
WORKING かつ healthy | 67 | 34.5% | 31 |
healthy だが WORKING 以外 | 119 | 61.3% | 42 |
WORKING 以外かつ unhealthy | 8 | 4.1% | 4 |
| 合計 | 194 | 100% | 77 |
x402への言及は77件、実動作との交差は31件
name、description、provider、skills、tags に含まれる x402、HTTP 402、machine-to-machine、M2M payment、stablecoin などの語句を集計しました。該当は 77件(39.7%)です。
WORKINGは、全194件に対して16.0%、x402言及エージェント77件に対して40.3%です。x402は、HTTPの 402 Payment Required を使い、支払条件の提示、署名済み支払データを添えたリクエストの再送、検証・決済を行うためのオープン標準です。A2Aがエージェントの発見・タスク管理・メッセージ交換を担うのに対し、x402は保護されたAPIやリソースへのプログラム可能な支払いを担います。基本フローは、x402公式ドキュメントを参照してください。
重要なのは、77件という数字はあくまでカード上の言及であることです。WORKINGとの交差は、A2Aの message/send が応答するかを見る指標であり、x402決済ハンドラの実装やオンチェーン決済の成立を直接検証したものではありません。ここから断言できるのは、機械間決済を掲げる公開エージェントが一定数存在し、その中でA2Aメッセージ交換まで確認できるものは31件だった、という点です。
認証・ライセンス・料金の記述はほぼない
機械間決済への言及がある一方で、取引相手を判断するためのメタデータはほとんど記載されていませんでした。
企業間でエージェントを利用するには、認証方式、要求権限、料金、ライセンス、提供者、実行履歴を確認できることが重要です。公開AgentCardは発見と機能説明には使えますが、現状では取引条件や信頼性を判断する情報として十分ではありません。
エージェントストアと仲介エージェントで、信頼できる接続を支える
Another Starでは、AgentCardへの到達、A2Aメッセージ交換の実動作、認証・利用条件といった情報を分けて確認できるエージェントストアを実装・提供しています。今回の調査で見えたのは、AgentCardが取得できること、A2Aのメッセージ交換が機能すること、取引条件を確認できることは、それぞれ別の確認事項だという点です。
提供者、AgentCardの構造、対応プロトコル、稼働性、認証・利用条件、審査結果を確認できるカタログ
ストアの情報を基に接続先を選び、依頼・実行結果・証跡を一つの経路で扱うための仲介層
仲介エージェントは、こうした確認情報を利用側の接続判断や実行結果の記録に結び付け、エージェント間のやり取りを一つの経路で扱う役割を担います。
仲介エージェントにおける決済関連の機能は、今後の検討事項です。決済を伴う場合に、利用側・仲介・提供側の間で選定、支払条件、実行結果、証跡を関連付ける構成を検討しています。x402や決済サービスとの連携、ウォレットと予算の管理、返金・補償、法務・金融規制への対応は、現在検討・検証を進めている事項です。
公開情報に基づくスナップショット
194件は、世界中のA2Aエージェントの総数ではありません。
対象はa2aregistryの公開APIで取得できたAgentCardです。企業内・非公開のエージェントは含まれません。WORKINGはa2aregistry側の task_conformance.category に依拠しており、Another Starがすべてのエージェントに対して機能・セキュリティ・決済を網羅的に動作検証したものではありません。x402・機械間決済の集計はキーワードベースであり、決済件数や取引額、決済ハンドラの動作を示すものではありません。
公開A2Aエコシステムはまだ小規模です。登録、AgentCardの疎通、A2Aのメッセージ交換という異なる層を分けて観測することで、実態に近い判断が可能になります。今後も、取引・決済・信頼に関する設計が実装と相互運用へどこまで進むかを継続して観測します。
調査対象:a2aregistryの公開API /api/stats および /api/agents?limit=100&offset={0,100}。取得日:2026-08-09。AgentCardの疎通確認は、登録された .well-known のURLに対するHTTP GETによるものです。仕様参照:A2A Protocol Specification、x402 Client / Server。
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